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【1】はじめに:SDカード選びは映像制作の基礎
ビデオカメラやデジタルカメラで映像制作を始めるとき、多くの方が最初にぶつかるのが「どんなメモリーカードを使えばいいのか?」という疑問です。とくに「4K撮影」に挑戦するときは、SDカードの性能が映像の安定性や画質のクオリティに大きく影響してきます。実際のところ、「ちゃんと撮れているから大丈夫」と思い込み、最適なカードを選ばずに失敗してしまう初心者は少なくありません。
このようなトラブルを防ぐためには、カードの容量、規格、速度などを正しく理解しておくことが重要です。そこで本記事では、初心者向けにSDカードの基礎知識を整理するとともに、4K撮影に適したカードの選択肢や、注意点、間違えやすい落とし穴などを徹底解説していきます。

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【2】SDカードの種類と基本的な規格
まずは、SDカードの種類とそれぞれの規格について抑えておきましょう。大きく分けて以下のような分類があります。
- SDカード
- SDHCカード
- SDXCカード
それぞれの規格をもう少し詳しく見ていきます。
● SDカード (Standard Capacity)
- 容量:最大2GB
- ファイルシステム:FAT16
- 現在ではあまり使われない規格
初期のデジタル機器で使われていたSDカードです。容量は2GB以下と非常に小さいため、現代のカメラではほとんど採用されていません。昔のデジカメやMP3プレイヤーなど、軽量かつ低容量で十分な用途に使われていましたが、動画撮影には容量的にも速度的にもまったく対応できません。
● SDHCカード (Secure Digital High Capacity)
- 容量:4GB~32GB
- ファイルシステム:FAT32
- 現在のコンパクトカメラや一部のビデオカメラで使用可能
SDHCはSDカードの高容量版として登場しました。理論上の最大容量が32GBまでしかないため、4K撮影をすると録画時間がすぐに足りなくなる可能性が高いです。とはいえ、一部のフルHD撮影などでは十分に対応可能な場合もあります。4K撮影のビットレートが低めのカメラであれば使えなくはないですが、どちらかというとHD~フルHDを想定して作られた規格です。
● SDXCカード (Secure Digital eXtended Capacity)
- 容量:64GB~2TB
- ファイルシステム:exFAT
- 4K、8Kなど高解像度撮影に対応しやすい
現在主流となっている規格です。64GB以上の大容量を扱えるため、長時間の4K撮影を行う場合にも十分対応できます。動画を撮影する人にとってはSDXCがスタンダードになりつつあり、特にビデオカメラでの4K撮影を前提とするならば、SDXCカードを選ばない理由はありません。
【3】速度規格・スピードクラスの見方
SDカードには「読み書き速度」があり、それを表す規格として「スピードクラス」「UHSスピードクラス」「Vスピードクラス」などの表記があります。単なる容量だけでなく、この速度面が非常に重要です。たとえば、4K動画を撮るのに書き込み速度が遅いカードを使ってしまうと、撮影途中で録画が止まったり、ドロップフレーム(コマ落ち)につながったりするリスクがあります。
● スピードクラス (Class 2/4/6/10)
昔から使われている規格で、「最低保証書き込み速度」が以下のように定められています。
- Class 2 → 2MB/s
- Class 4 → 4MB/s
- Class 6 → 6MB/s
- Class 10 → 10MB/s
HD動画を撮影するならClass 6以上、フルHDならClass 10は欲しい、といったガイドラインがありますが、現代の高ビットレートを伴う4K動画撮影においては、Class 10の基準だけでは足りないことが多いです。
● UHSスピードクラス (U1 / U3)
UHSバス規格(UHS-I/UHS-II)の中で、最低保証書き込み速度を表したものです。
- U1 → 10MB/s
- U3 → 30MB/s
4K動画を撮るならU3以上が推奨とされることが多いです。特に4K 60fpsなど高フレームレートで撮影する場合は、かなり高いビットレートが必要になります。
● Video Speed Class (V6 / V10 / V30 / V60 / V90)
最近のカードには「Vマーク」がついている場合があります。これも最低保証書き込み速度を示しており、それぞれ以下のようになります。
- V6 → 6MB/s
- V10 → 10MB/s
- V30 → 30MB/s
- V60 → 60MB/s
- V90 → 90MB/s
このように「V60」「V90」といった表示があれば、かなり高いビットレートに対応しているカードであることがわかります。4K動画でも高ビットレートのコーデック(例:400Mbpsなど)を使うなら、V60やV90といった上位クラスが必要になる場合があるのです。
【4】UHSバス規格 (UHS-I / UHS-II / UHS-III)
スピードクラスとは別に、カードそのもののバス規格(データ転送の仕組み)にもUHS-I、UHS-II、UHS-IIIといった種類があります。通常のSDカードスロットで一般的なのはUHS-Iですが、UHS-II対応のカメラやカードリーダーを使うと、理論上はより高速なデータ転送が可能です。
- UHS-I:最大104MB/s
- UHS-II:最大312MB/s
- UHS-III:最大624MB/s(まだ対応機器は少ない)
とはいえ、実際の運用上、UHS-IIカードをフルに活かせる機器は限られます。たとえば、カメラがUHS-II対応であっても動画記録における書き込み速度は各カメラの内部処理による制限を受けることがあります。一方、パソコンへの読み込みや書き込みを高速化したい(編集ワークフローを短縮したい)場合は、UHS-II対応リーダーを使えばコピー速度が劇的に早まるというメリットがあります。
【5】4K撮影に求められる速度と容量
● ビットレートと書き込み速度
4K動画を撮る際、最も重要なのは「カメラのビットレート」と「SDカードの最低保証書き込み速度」のバランスです。たとえば、ビットレート100Mbps(約12.5MB/s)で4Kを記録できるカメラの場合、Class 10(10MB/s)ではギリギリ、実際にはU3(30MB/s)クラスのほうが余裕をもって撮影できるでしょう。さらにビットレートが150Mbpsを超えるようなモデルになるとV30以上が安心です。
一概に「4KだからV30以上」というわけではありませんが、最近の4Kカメラは高ビットレート化が進んでいるため、やはりV30以上(U3以上)を選ぶのが基本的なスタンスと言えます。
● 容量はどのくらい必要か
4K動画はフルHDに比べてデータ量が大きく、撮影時間が長くなるほど大容量のカードが必要になります。
- 4K/30fps、100Mbpsで撮影する場合、1分間に約750MB使用
- 1時間撮影すると約45GB
というようなイメージです。もちろんコーデックやビットレートによって前後しますが、4K撮影を念頭に置くなら最低128GBは欲しいところです。長時間のイベント撮影やドキュメンタリー撮影であれば、256GBや512GBのカードを用意するのもおすすめです。
【6】格安SDカードは大丈夫なのか?
初心者の方がやりがちなのが「とりあえず容量だけ大きければいい」という考えで、安価な海外製ノーブランドのSDカードを購入するケースです。確かに安い製品でも問題なく使えているという声もありますが、トラブルの報告も少なくありません。
- 書き込み速度が表示ほど出ない
- 録画中に突然エラーが起きる
- 突然認識しなくなる(データ消失)
特に映像制作という場面では、一度失敗しただけでも大きな損失となります。個人で趣味撮影する程度ならまだしも、クライアントワークなど大事なプロジェクトで格安カードを使ってトラブルが起きた場合のリスクは大きいです。
したがって、できるだけ信頼のあるブランド(SanDisk、Lexar、Transcend、ProGrade Digitalなど)の製品を選ぶのが無難でしょう。少なくとも、Amazonで正規販売されている信頼あるショップから買うなどの工夫をしたほうが安全です。
【7】初心者が間違えやすいポイント
ここまで解説してきた中でも、特に初心者の方が間違えやすいポイントや注意点を整理しておきます。
- 容量だけでカードを選ぶ
- 容量が大きくても速度が足りなければ4Kは安定しない。
- Class 10だからOKと思い込む
- 4K映像ならU3、V30以上を目安にする。ビットレート次第ではV60、V90が必要。
- UHS-IIカードを買えばなんでも高速化すると思う
- カメラがUHS-II非対応なら本領を発揮できない。PCでの読み書きは速くなる可能性あり。
- 格安カードを大量に買う
- トラブルが起きたときのリスクが大きく、かえって損する場合も。
- カードフォーマットを怠る
- 映像記録前にカメラ側でSDカードをフォーマットしないと、データ破損や速度低下の原因になることがある。
【8】おすすめのSDカード選びの実例
● 4K30fps・ビットレート100Mbps程度のカメラを使う場合
- 必要速度:最低でも10MB/s(Class10)、余裕を見て30MB/s(U3、V30)
- 容量:128GB~256GBが標準的
- 具体例:SanDisk Extreme PROシリーズ (U3, V30) / Lexar Professional 1667x (U3, V30) など
このクラスのカメラなら、U3やV30対応カードを選べばまず問題ありません。Extreme PROシリーズなどは実読み書き速度も高く、耐久性も高い評判があります。

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● 4K60fps・ビットレート200Mbps前後のカメラを使う場合
- 必要速度:最低でも30MB/s (U3, V30)、できれば60MB/s(V60)
- 容量:128GB~512GB
- 具体例:ProGrade Digital SDXC UHS-II V60 / SanDisk Extreme PRO (V30) / Lexar Professional 2000x (UHS-II, V90) など
4K60fpsはビットレートが高くなる傾向にありますので、V60対応など上位クラスを選ぶとより安心です。実運用ではV30でも撮影できる場合はありますが、コマ落ちやエラーリスクを減らすならやはりV60対応カードがベター。
● シネマカメラや高ビットレート(400Mbps超)を使う場合
- 必要速度:V60~V90
- カメラ側の推奨メディアリストを必ず確認
- 具体例:Sonyタフシリーズ (V90) / Panasonic推奨のSDXC V90カード など
ハイエンドなミラーレスやシネマカメラでは、メーカーが推奨するカードリストが公開されていることが多いです。トラブルを避けるためにも、そのリストに掲載されているカードを選ぶのがベストと言えます。
【9】SDカードの取り扱いと長持ちさせるコツ
どんなに高性能のSDカードを買っても、使い方や取り扱いが悪いと故障リスクが高まります。映像制作を安心して続けるためには、次のようなポイントに気を付けましょう。
- 撮影前にカメラでフォーマットをする
- PCでフォーマットするより、カメラ本体で行うのが推奨。
- 書き込み中に電源を落とさない
- データ破損の原因になる。
- 過度な温度や湿度を避ける
- 直射日光下や極端な寒冷地での管理に注意。
- カードを頻繁に抜き差ししない
- 端子へのダメージを避けるために、必要最低限の抜き差しに留める。
- バックアップをこまめに取る
- カード自体は消耗品であることを意識し、定期的な買い替えも検討する。
【10】初心者向けQ&A
ここでは、よくある質問をまとめてみました。
Q1. 予算をあまりかけたくないのですが、低価格のSDカードでも4K撮影できますか?
A. できる場合もありますが、リスクは高まります。撮影が途中で途切れたり、データ破損が発生する可能性もあります。大切な映像を扱うなら、ある程度の信頼性の高いブランドを選ぶのが無難です。
Q2. UHS-IIカードがほしいけど、対応カメラを持っていません。それでも買う価値はありますか?
A. UHS-IIカード自体はUHS-Iスロットでも使用できますが、速度面で本来の性能を発揮することはできません。パソコンでの読み込みや書き込みを高速化したい場合はメリットがありますが、純粋にコスパを考えるならUHS-Iカードで十分なことも多いです。
Q3. SDカードはどのくらいの期間使えますか?
A. 使用頻度や取り扱いにもよりますが、基本的に「消耗品」と考えてください。メーカーの保証期間内でも突然のエラーは起こり得ます。2~3年使い続けているカードがあれば、定期的に新品に更新するのが望ましいです。
Q4. 4K撮影で速度が追いつかずエラーが出てしまいました。対応策は?
A. まずはカードの規格やビットレートの確認が必要です。クラスが足りていない場合は、より上位の速度クラスのSDカードを用意しましょう。また、カメラ側の内部設定やコーデックによってはビットレートを下げる選択肢もあります。
まとめ:用途に合ったSDカードで映像制作をスムーズに
SDカード選びは、映像制作を安定して進めるための“生命線”とも言えます。初心者のうちは容量ばかりを気にしてしまいがちですが、実際には速度性能(スピードクラス)やブランドの信頼性が重要です。4K撮影を行うなら最低でもU3、V30以上を目安にし、カメラのビットレートや推奨カードを確かめることを忘れずに。また、カードは消耗品なので、定期的に買い替えやバックアップを取る習慣も大切です。
これらのポイントを押さえておけば、急に録画が止まったり、大事な映像が消えてしまうといったトラブルを大幅に減らすことができます。**「わかっているようでわかっていないSDカードの選び方」**をもう一度振り返り、自分の撮影スタイルに合った最適なメディアを選んで、クリエイティブな映像制作を存分に楽しんでください。
【この記事で押さえておきたいポイントおさらい】
- SDカードの規格(SDHC/SDXC):4K撮影にはSDXCが主流
- 速度表記(Class10/U3/V30など):4K撮影にはU3(V30)以上が推奨
- UHSバス規格(UHS-I/UHS-II):対応機器とあわせて検討
- 格安カードのリスク:失敗のコストを考慮する
- 取り扱いとメンテナンス:カードは消耗品。バックアップをこまめに

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