【映画】徹底考察『NOPE/ノープ』(2022)監督：ジョーダン・ピール

1．映画「NOPE」が世界中で注目を集める理由

2022年に公開されたジョーダン・ピール監督の「NOPE」は、ホラーやスリラー、SF、社会派メッセージといった複数の要素が融合した独特な作品として大きな話題を呼びました。もともとジョーダン・ピールは、コメディ出身でありながら「ゲット・アウト（Get Out）」(2017)や「アス（Us）」(2019)でアカデミー賞をはじめ数々の受賞歴を重ね、“人種問題などの社会的テーマをホラー的手法で巧みに描く監督”として国際的な評価を獲得しています。

本作「NOPE」は、初動から高い興行成績を叩き出し、北米を中心に多くの観客を劇場へ足を運ばせるだけでなく、世界各国での公開や配信後も「深読みができる作品」「一度観ただけでは理解が難しい」といった評判が広がり、SNSや映画批評サイトで長きにわたって話題になりました。「NOPE」というタイトルの簡潔さ、そして意味深な響きが興味を引き、さらに“UFOらしき存在”を中心にした宣伝戦略も好奇心を高める要因になったように思われます。ここには“謎”や“怖さ”以上の何かが隠されている、という期待感があり、観客はただのホラー映画とは違う空気を感じ取ったのではないでしょうか。

また「NOPE」の魅力を語るとき、多くの人が注目するのは“極度の緊迫感”と“意表を突くシーン構成”です。コミカルな要素と不穏な静けさ、同時代的なテーマとSF的ロマンが混ざり合いながら、観客を飲み込むような映像体験が展開されます。ジョーダン・ピール作品には、常に社会性や時代性、さらには普遍的な人間心理を突きつけるモチーフが散りばめられており、本作もその例外ではありません。「NOPE」は一見、未知の存在との遭遇とそれに対峙する人々のパニックムービーのように見えながら、その背後には監督独特の視点が詰め込まれています。

2．ストーリー概要：牧場を営む兄妹と“何か”の影

「NOPE」は物語の初めから、不穏な空気が漂います。カリフォルニア州の人里離れた場所で、馬の調教師を家業とするヘイウッド一家が登場。兄のオージェイ（通称：OJ）と妹のエメラルドは、突然の父の死という悲劇を乗り越えようとしています。外見的に見ると、馬の調教師としてハリウッドの撮影に馬を貸し出して生計を立てるという地味ながらユニークなビジネスを行う一家です。古くはハリウッド映画創世記の“最初の映画に映った黒人の騎手は自分たちの先祖だった”というプライドを持ちつつも、オージェイとエメラルドはそれぞれ性格や方向性が全く異なります。兄のオージェイは寡黙で責任感が強く、黙々と牧場を守ろうとするタイプ。一方の妹エメラルドは明るく社交的で、機転を利かせながら何か大成功をつかもうとしたがるキャラクターです。

物語は、オージェイたちが営む牧場の周辺で“原因不明の現象”が起こりはじめるところから本格的に動き始めます。夜空に浮かぶ奇妙な影や、突然消える電力、馬が行方不明になる事件など、不安をかき立てる出来事が次々に起きていく。やがて兄妹は“あれ”を目撃し、UFOらしき飛行物体（のような存在）が自分たちの牧場付近を出没し、馬を襲い始めていると確信します。しかし、その“正体”は単なるUFOではなく、何か生き物のような動きを見せる超常的存在でした。

ここで兄妹は、まるで過去のハリウッドを象徴するかのように「チャンスを逃さず、それを映像に収め一攫千金を狙おう」と考えます。単純に逃げて身を守るのではなく、その奇妙な存在をカメラで捉え、映像を撮影することで有名になろうとするわけです。エメラルドのようなミーハー気質と、やや乗り気でないものの経済的困窮を脱したいオージェイの思いが組み合わさることで、観客には「どうして逃げないんだ？」という疑問が沸くかもしれません。それは本作の大きなキーワードでもある“ショービジネス”や“映像産業”そのものと深く結びついており、アメリカ文化の根底に流れる「見世物への欲求」や「証拠を手にしたい欲望」が物語を動かす原動力になっているのです。

3．登場人物の深い考察：それぞれの選択と心理

3-1. オージェイ（OJ）

オージェイはとにかく無口で実直な人物として描かれています。父の死により、牧場を切り盛りしなければならないという責任感に加え、馬への愛情も深い。彼は“正体不明の何か”に対しても安易にパニックを起こさず、冷静に対処法を模索します。この性質は後に非常に重要な役割を果たします。オージェイの態度は、ある種の“トラウマ克服”や“伝統の継承”を象徴していると考えることもできるでしょう。彼の「馬を扱うスキル」「相手に背を向けてはいけない」などの直感的かつプロフェッショナルな知識が、未知の存在との生死をかけた闘いの中で武器となるわけです。

3-2.エメラルド

エメラルドは兄オージェイと対照的に外向的で、一発逆転のアイデアを常に探している女性です。根底には“父や兄の影で埋もれがちだった自分”に対する反発心や、“注目を浴びたい”というエゴイスティックな願望も感じられます。同時に、時折見せる家族思いな面や危機に対する行動力から、単なる“自己顕示欲”だけではないこともわかります。彼女は“カメラに収めて世間を驚かせたい”という気持ちを行動の原動力にしていくわけですが、それは現代社会における“バイラル狙い”や“自己ブランディング”と重なるようにも見えます。

3-3.アンジェル（電器店の店員）

兄妹の計画に巻き込まれる形で登場するアンジェルは、ある種の“オタク気質”を持ち、UFOや超常現象の話題に敏感です。最初は兄妹に防犯カメラ設置をする役回りですが、次第に謎の存在に強い興味を抱き、自ら事件の撮影に協力していきます。アンジェルは、ネットやメディアの世界に深く根を下ろす現代の若者像を反映しているともいえます。彼のマニアックな知識と好奇心は、他者からは“浮ついている”ように見えても、決定的な瞬間を捉えるうえで大きな助けになるのです。

3-4.ホルスト・パープル（カメラマン）

プロの撮影マンとして登場するホルストは、アナログ撮影へのこだわりや芸術家肌の性質を持っています。最新テクノロジーが通用しない状況下で、彼のフィルムカメラが重要な役割を果たすあたり、本作が伝統とデジタルの両面をどう扱っているかを示すポイントです。ホルスト自身も「誰も撮ったことのない映像を撮りたい」という飽くなき探求心があり、それが結果として作品クライマックスへと収束していきます。

4．ジョーダン・ピールの作家性：人種・社会・恐怖の掛け合わせ

ジョーダン・ピール監督の作品には、常に現代的な社会問題がバックグラウンドとして通奏低音のように響いています。彼の初監督作「ゲット・アウト」は、ホラー映画のスタイルを借りながらアメリカに根強く残る人種差別構造を風刺的に暴き出し、その後の「アス」では“自分とは何か”というアイデンティティや“アメリカの格差社会”などを強烈に暗喩しました。「NOPE」では一見、人種問題が前面に出ているわけではありませんが、黒人がハリウッド草創期から活躍していたにもかかわらず、歴史に名を刻まれず埋もれてしまったという事実が語られます。また、牧場の経営難などの状況に象徴される“黒人家系が伝統を維持しながら現代的な競争社会で生き残る大変さ”も暗に描かれています。

さらに、「NOPE」においてジョーダン・ピールは“視線の恐怖”や“見世物としての恐怖”を強調し、観客を心理的に追い詰めます。ピール監督は「ゲット・アウト」で“まなざし”や“注視”が持つ暴力性を描写していましたが、本作でも未知の存在を視界に捉える・捉えないという行為が生死に直結する仕掛けになっています。作品のタイトルである「NOPE」は、登場人物が驚いたときに発する感嘆（「いやだ」「無理だ」のような拒絶感を含むスラング）でもあるのですが、同時に“見ることを拒否する”あるいは“ものすごい不快感を即座に示す”という意味合いであり、そこにはピール監督の意図が強く込められているようにも思えます。

5．作品の宗教性・精神性：奇妙な存在は何を象徴するか

「NOPE」の中盤から終盤にかけて明かされるのは、“UFO”と思われていたものの正体です。実は宇宙船ではなく、一種の生物であるかのように描かれます。まるで巨大なクラゲのような姿、あるいは布のひだが何層にも重なった神秘的な形態へと変化し、その中心部が不気味な視線のようにも感じられる。大昔から地球に存在していたのか、あるいは異星から飛来したのかははっきりしません。ただ、「それ」は見られることを警戒し、“目”が合った獲物を襲うという特徴を持つ。オージェイが馬を扱う知識を活かし、相手を目視しないよう注意することで回避できるという設定は、非常に宗教的・精神的モチーフを感じさせます。すなわち“見る”という行為、視線の交換は神との対峙や禁忌にも例えられるからです。

世界の神話や宗教において、“神の顔を直接見てはならない”“神はその姿を見せない”といった伝承が数多く存在します。「NOPE」の“正体不明の生物”は、監督の想像力をもって創り出された新しい“神話の怪物”のようにも読めます。人間が容易にコントロールできないその存在は、“自然”あるいは“神”と見ることもできる。人間がそれを興味本位で見世物にしようとすること自体が“冒涜”であり、その結果として破滅的な結末を迎えかねない、という寓話的な構造が感じられます。このような読み解きは、ジョーダン・ピールがホラーを越えて“新たな神話的世界”を提示することで、観客に根源的な畏怖を抱かせる一因になっているといえるでしょう。

6．社会性と時代性：メディアと見世物としての暴力

「NOPE」の大きなテーマの一つに、“見せる/見られる”という構造があります。ハリウッド映画産業の一端を担うヘイウッド一家は、馬をハリウッドの撮影に貸し出すことで生計を立てています。つまり、馬を見世物や娯楽に仕立てることで金銭を得ているわけです。一方、子役時代からサルが起こした悲劇の生き残りであるジュープ（別の牧場を営むキャラクター）は、そのトラウマ体験を逆手に取り、テーマパークのアトラクションとして消費しようとしています。さらには、未知の存在を撮影して“世界初の映像”として売り込みたい兄妹の計画も含め、人々が“恐怖”や“危険”をエンタメとして利用しようとする姿勢が物語の根底にあります。

ジュープのバックストーリーにある猿のパニック事件は、作品における非常に重要な要素です。幼いころ出演していたテレビ番組で、相棒の猿が突然暴れ、撮影セットが血の惨劇に包まれるというトラウマ。普通であれば思い出したくもない悲劇です。しかしジュープは、それを“語り草”にしていたり、むしろ自慢げにその事件をネタに収益を上げようとしたりします。そこには監督の批判的視線が感じられます。大きな事件や惨劇、トラウマですらメディアと結びつくことで商品化され、見る側の欲望を刺激し、消費されていく。“怪奇”や“恐怖”をむしろビジネスチャンスにしてしまう人間の欲望が、作品を貫くモチーフといえるでしょう。

さらに興味深いのは、この映画の公開時期がコロナ禍以降というタイミングであったことです。多くの人々が情報をオンラインで受け取る状況下、SNSなどで映像や写真が瞬時に拡散され、バイラルが大衆心理を動かします。エメラルドやアンジェルが“撮ってやろう”“バズらせてやろう”と意気込む姿は、現代社会の風潮そのものを投影しているようにも思えます。かつてないほど“見る/見られる”のバランスが危うくなっている時代に、この作品は“得体の知れない存在を撮影できるのか”といった単純な興味以上の深いテーマを突きつけてきます。

7．高い視座からの解釈：人間の愚かさと未知への畏怖

「NOPE」は、超常的な生物との直接対峙というパニック的要素を軸としつつ、その実、観客に哲学的・神学的ともいえる問いを突きつけています。すなわち、人間は“理解できないもの”や“制御できないもの”とどう向き合うべきなのか。カメラに収める、研究する、商品化する、いろいろな可能性が考えられますが、この映画で描かれる人々の行動は、未知なる存在に対する究極の“傲慢さ”と“好奇心”がせめぎ合う姿そのものです。未知を利用しようとすれば破局を迎えるかもしれないし、逆に恐れすぎるあまり何もしなければ得られるものはない。結局、オージェイは牧場を守るために立ち向かい、エメラルドは映像を撮るために悪戦苦闘します。この兄妹の行動は、人類が常に抱えてきた“未知との関係性”を象徴的に描いているといえます。

「見ること」により力を得るのか、それとも「見ないこと」によって生き残るのか。こうしたテーマは、古今東西の神話や物語で繰り返し扱われてきた重要な問いです。例えばギリシア神話のゴルゴン（メデューサ）の伝説や、日本でも天岩戸神話のように“見る/見られる”が大きな転換点となる伝承が存在します。「NOPE」はこの伝統に連なる新たな神話としての魅力を備えており、観客はエンターテインメントとしての面白さだけでなく、原初的な畏怖や神秘をも同時に感じ取るのです。

8．視覚的演出の巧みさ：ホラーとSFの融合

ジョーダン・ピール監督は、ホラー的演出に長けているだけでなく、ジャンル融合を得意としています。「ゲット・アウト」では人種差別ホラーという新ジャンルを築き、「アス」ではドッペルゲンガーやスリラーの要素を混在させました。本作「NOPE」でも、古典的なUFO映画を思わせるSF的イメージと、生々しいパニックホラー的な恐怖の演出が見事に掛け合わさっています。

特に注目すべきは、夜の闇や広大な空を活用した“見えそうで見えない”映像表現の数々です。観客の視点としては、遠くの空を見つめている登場人物と同じように「そこに何かいるのか、いないのか」を探ろうとして緊張感が高まります。さらに、馬や動物の挙動を通じて“自然が先に気づく”というホラー演出は古典的ながら、非常に効果的です。音響面でも、静寂を長く保ち突然異音が響くシーンなどを巧みに配置し、観客に不安をじわじわと植えつけます。

9．映画史との関連性：ハリウッドと黒人史、そして西部劇的要素

作中で語られる“映画の最初期に登場する黒人騎手の映像”というエピソードは、実際にエドワード・マイブリッジが19世紀末に撮影した連続写真の史実をモチーフにしていると言われます。あの“動く馬と騎手”の写真は映画の始祖ともいわれるものですが、騎手が黒人であることはあまり認知されていません。これを本作は物語の基盤として設定し、先祖代々ハリウッドに貢献してきた黒人ファミリーがいたのだと主張する。これは、表立って語られてこなかった黒人の映画史への貢献を再評価するとともに、白人中心のハリウッドに埋もれてきた歴史を掘り起こす意義を持っています。

また舞台となるのがカリフォルニア州の荒野であるため、西部劇的な要素も感じられます。オージェイがカウボーイのように馬を駆り、広大な平原を颯爽と横切る場面には古典的なアメリカ映画の雰囲気があります。しかしながら、そこに登場するカウボーイが黒人であるという点、そして襲ってくるのが“宇宙人”でもなければ“インディアン”でもない、不可思議な超常生物だという点が大きな皮肉にもなっています。要するに、従来の西部劇が持つ「未知のフロンティアを開拓する勇敢な白人男性」的な神話が完全に覆されており、そこに本作の新しさが際立つわけです。

10．まとめ：世界中から支持される魅力と今後の評価

10-1.多層的な物語構造

「NOPE」は、UFOパニック映画として表面的に楽しめるエンターテインメント性を持ちながら、社会的メッセージや神話的要素、人間心理の暗部をも描写しています。この多層的なストーリーテリングが、観客に何度も観返す価値を与え、議論を呼ぶ理由にもなっています。

10-2.“見ること・見られること”への鋭い問い

監督のジョーダン・ピールは、メディアやSNS、ショービジネスの本質を照射し、“見せる欲望”と“注視の暴力性”を観客に突きつけます。特にジュープの猿の事故から始まる“惨事を商品化してしまう”という問題提起は、現代社会への強い皮肉と風刺といえるでしょう。そこには、単なるホラーやSFの枠を超えた社会批評が込められています。

10-3.監督らしさと新たな挑戦

「ゲット・アウト」「アス」に続き、第三作目となる本作でもジョーダン・ピール独特の作家性が色濃く表れています。一方で、単なる“人種問題ホラー”から一歩距離を取り、より普遍的なテーマに踏み込む試みも見られます。多様な解釈が可能な作品であるからこそ、世界中の観客に支持され、高い評価を得たのでしょう。

10-4.観客に残る余韻

「NOPE」はミステリーの全貌が必ずしも明かされきらず、謎を多く残す映画です。それは観客の想像力を掻き立て、SNSやコミュニティでの考察合戦を呼ぶ一因にもなりました。結末で“何を見たのか”“あの生物は何だったのか”をめぐる議論は絶えません。語りたくなる、深読みしたくなる余地が作品内に豊富に仕込まれていることが、“息の長い支持”を生むポイントとなっています。

以上のように、映画「NOPE」はジョーダン・ピール監督の得意とする社会性の強いホラー／スリラーでありながら、西部劇的要素やメディア論的側面、さらに宗教や神話に近い世界観までを融合し、独自の地平を切り開いた作品だといえます。物語の核心には、“見ること”のリスクと欲望をめぐる問いが据えられており、これこそが作品全体を貫く重要なテーマです。人間が未知を前にしたとき、それを恐れながらも記録や証明、あるいは利用や商売の種にしようとする姿勢が、古今東西の神話や歴史の繰り返しでもあります。物語内で兄妹が選んだ道、そしてその結末は、観客に「自分ならどうするだろうか？」という問いを突きつけるはずです。

このように、映画「NOPE」はハリウッド映画の文法を引用しつつ、それ自体に対する批評や問いかけを内在化したメタ映画ともいえます。誰もが一度は“空に何かいるかもしれない”というロマンと不安を抱くものですが、それが実際に目の前に現れたとき、人はどう振る舞うのか。この問いは、現代社会の情報氾濫やSNS依存にも通じるのではないでしょうか。ジョーダン・ピールの映像と演出を通じて表出するのは、エンタメと恐怖と社会批評が渾然一体となった、新時代のスペクタクルに他なりません。だからこそ世界中の観客はこの作品に強く惹かれ、公開後も長く語り継ぎ、配信やソフト化された今でも新たな観点からの議論や考察が絶えないのです。

そして最後に、この作品のタイトル「NOPE」には、キャラクターが恐怖や危機を目の前にしたときに思わず口走る拒否反応である一方で、“それでも撮ってやろう”、“近づいてやろう”という人間の性（さが）への痛烈な皮肉も感じられます。ほんの少し覗いてみるだけ――その欲望が悲劇を生み、人間の好奇心と本能が紙一重であることを示す象徴的な言葉。それこそが、「NOPE」に潜む人間ドラマの根源といえるのかもしれません。

この複雑で多面的な映画にはさまざまな視点があり、まだまだ掘り下げられる余地が残されています。観るたびに新たな発見や解釈が浮かび上がるのも、「NOPE」が世界中で支持される大きな理由でしょう。その深淵に触れてしまうとき、観客は本能的に「NOPE」と叫ぶのか、それともより深く覗き込むのか。まさに、ジョーダン・ピール監督による“視線”と“見世物”の探求は、今後も映画ファンを魅了し続けるに違いありません。