「ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた」
パット・シップマン著
内容の多くは、外来生物、オオカミなどの食物連鎖の頂点にたつ動物、ネアンデルタール人の遺跡の骨の分析、炭素分析、DNA分析などに関するお話。ヒトとイヌに関する記述は後半の10%未満。表題のみに興味あるかたは後ろの方だけですね、と言うことで表題に騙されました。
さらに表題に騙されたといった内容で、著者はネアンデルタール人の絶滅は氷河期になりヨーロッパの北部に住んでいたネアンデルタール人が南に移りすむようになるのだが、現人類ヒトと生息域がかぶり、生存競争に負けたと記されている。別に喧嘩したとかではないようで、なんんとなく住み分けはしていた模様。だが、ネアンデルタール人は生存競争に負けて地球上から絶滅するわけなんですが。
ネアンデルタール人がヒトとの生存競争に負けた理由に関して
・消費カロリーがヒトより15%高い。より多くの食糧を食べないといけない
・海から食糧をあまり手に入れてなかったようだ。また植物も食べて無かった。故に肉ばかりとる必要がある。狩りのみに頼るので、カロリーの摂取が安定的に行われづらい状況だった。
・投てきの武器を使用していなかった。効率よく獲物を捉える能力は、飛び道具を使えたヒトの方が上。ネアンデルタール人が容易に捕獲できる小さいマンモスを狩っていたときに、ヒトは大きいマンモスを捕獲し、より多くのカロリーを摂取できていた。
ヒトとネアンデルタール人が異種間生殖がうまく行かなかったのは、男が生まれた時に極めて生殖能力の低い子どもしか生まれなかったようだ。でも、現代人には1%ぐらいネアンデルタール人のDNAは混じっているらしい。
ヒトとイヌが共同して生活するようになった、1.5〜3万年前にはネアンデルタール人は滅んでいたとされている。ヒトがイヌと共同生活した最大の理由は、一緒に狩りを行うと、より多くの獲物がとらえられる。言い換えると、効率よくカロリーを得ることができる。一緒に行動し、とらえた獲物を分配しても、ヒトだけ、もしくはイヌだけで獲物をとらえた場合よりも多くのカロリーを手に入れることができた。故に、お互いが協力することに大きなメリットがあった。
【家畜】というよりは、【生きるためのパートナー】である。
遺跡には、ヒトがイヌを埋葬していた形跡がある。ヒトの居住する遺跡からオオカミやトナカイなどの骨も見つかっているが、埋葬させている形跡があるのはイヌのみ。口のなかにマンモスの大きい骨を入れて埋められていたようだ。当時、マンモスを一緒に狩りをして、肉をわけてもらっていたイヌ。死後も食べ物に困らないようにとの祈りからでしょうか?
著者による仮説によると、人間に白目が大きいのはアイコンタクトでイヌと意思疎通を容易にするためだという。イヌとわかりあえることで、狩りの際に優位に働いていた。イヌをうまくコントロールできたヒトがより生き残ってきた。多くの動物は黒目が大きいのにたいして、白目が大きい人間は視線で情報を伝達できる特殊な動物である。本来、動物で白目があることは、意思がバレるために生存に適していなく淘汰されるようだ。イヌを飼っているとわかるのだが、イヌは常にヒトの視線を気にしている。これもヒトとイヌの3万年の付き合いから残った本能なんですね。
ざっくりとまとめると本書をまとめるとすると。
種が移動したり、絶滅したり、大陸を渡ったり、進化したりすべて気候変動が原因、みんな地球に生かされている。ということでしょうか。