【歌舞伎】12月大歌舞伎「あらしのよるに」

絵本原作の新作歌舞伎

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新作歌舞伎「あらしのよるに」

絵本が原作と言う前代未聞の異色である新作歌舞伎「あらしのよるに」をみて来た。

「あらしのよるに」とは?

「あらしのよるに」は、原作:きむらゆいち。絵本のベストセラーで、海外にも多く翻訳され、様々なメディアでも展開している。原作は、累計300万部を突破し、シリーズは全7刊におよぶ。メディア展開としては、NHKの「てれび絵本」に始まり、テレビアニメ、劇場用アニメ、ドラマCD、ゲーム、一般の舞台など。

歌舞伎になった絵本

NHKの「てれび絵本」で朗読を務めた中村獅童。その後、劇場用アニメでは主人公ガブの声優も務めている。その彼が、今回の舞台の立役者(表現あってますかね?)となり歌舞伎にしたてあげたのである。その歌舞伎化にあたっては、今は亡き中村獅童の母が企画したというから彼にとって特段思い入れの深い作品である。

昨年京都・南座にて公演

昨年9月に京都・四条南座での公演で、好評を得ての凱旋となった、今回の歌舞伎座の公演である。登場人物がすべて動物という(人物じゃないか)異色作品に挑むのは、主役のガブに中村獅童、相手役メイには尾上松也、悪役ギロに市川中車。12月大歌舞伎の第一部で11時からの公演となっている。12月26日(月)が千穐楽となります。

公演の詳細は、松竹・歌舞伎のHPを参照されたし→ 歌舞伎美人 公演情報

南座が好評だったとはいえ、一年たらずで歌舞伎座公演と言うのは正直驚いております。南座公演に比べて、歌舞伎座は客数も倍、舞台面の大きさも倍になり、この舞台を引っ張る中村獅童さんのプレッシャーも倍になっているのではと思います。再演ということで、ゼロからのスタートではないにしても歌舞伎の殿堂である歌舞伎座で公演することは、歌舞伎役者にとっては名誉あることであり、挑戦でもあるはずです。

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12月大歌舞伎 歌舞伎座

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12月大歌舞伎 歌舞伎座

京都・南座の公演を、2015年放送のテレビ番組でドキュメントで追いかけさせていただきました身としては、この「あらしのよるに」が銀座・歌舞伎座で観られることはなんとも感慨ぶかいものがあり、会場のお客さんたちが入っているのか、しっかり受けているか気になってしかたありません。

絵本が原作の新作歌舞伎で、王道な歌舞伎でないだけに昔ながらの歌舞伎ファンにどの様にうつるのか?原作が好きなの若い人にどううつるのか?どっちかを取れば、どっちかが逃げていくでしょうし、それでは興行としてもどう判断していくかも勇気が必要になると思います。

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「あらしのよるに」ギロとメイ

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「あらしのよるに」第二幕

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歌舞伎座「あらしのよるに」を見て

何回見ても、笑って泣ける歌舞伎になっていました。歌舞伎の古典様式美を活かしながら、アクロバットな殺陣を導入したり、歌舞伎座の舞台の回転を豪快に活用したりと、見ていて楽しい舞台です。最後のお月さまのシーンでは、劇場からはすすり泣きの声が聞こえてきてました。

お客さんの層をみてみると、普段の歌舞伎よりも若干若いように見受けられました。お子さんを連れた親子の姿もあり、絵本原作ならではの光景ではないでしょうか。自分の後ろに座っていた小学生の男の子はだいぶ爆笑しておりましたが、後半になると「まだ終わらないの?」と母親に聞いていました。序幕から二幕まで、休憩時間を含めて3時間近くになるとたしかに飽きてしまうのは仕方ないですかね。

歌舞伎の裾野を広げる素晴らしい舞台にしあがっています。

南座の公演と比べて

昨年の京都南座での公演に比べて3つのことが、変わったと感じました。自分が見たのは、南座の初日だったので、もしかしたら南座でも後半は変わっていたのかもしれませんが・・・

1.前半がよりとっつきやすくなっていた

科白(せりふ回し)が、さらに現代的にわかりやすく、フランクになっています。途中アドリブで「(2016年の流行語)」をぶっこんできたりしていました。中村獅童のガブの舞踊も歌舞伎の枠を越えて楽しくなっており、獅童さんがのびのびやっているのが見ていて楽しく感じられました。「あいつはオイラの友達だ!食いてな〜いけねよ〜」のくだりので、竹本とのツッコミもグレードアップしていたのには、爆笑してしましました。

2.ガブとメイの心情が丁寧に演出されている。

二人が仲良くなった過程だけでなく、それぞれの登場人物の行動原理が納得できるようになっている。前回見たときには、ガブとメイの友情を培って行く過程が荒削りな感じがしたのに対して、今回は丁寧にセリフをつむいでおり完成度の高さを感じました。

3.舞台が大きくなったせいか、転換に時間がかかってるような気がした。

ただでさえ場面が多い筋なので、転換に時間がかかるのがもったいない。しかし、その時間がかかるのを見越して全体のテンポが凄く早いので、歌舞伎初心者や普通の舞台を見慣れている人にとっては心地よいスピード感と得られているのかも。

公演3日目での観劇でしたが、機会があれば楽が近い日程で再度見に行きたい。さらなるブラッシュアップがなされて、進化している様子が見られると確信している。無事、歌舞伎座公演が成功して、次は大阪・松竹座で公演でしょうか。

歌舞伎俳優中村獅童にこれからも注目である。

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歌舞伎座

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コメント

  1. このみ より:

    ガブとメイとギロがごちゃごちゃでした。
    劇場アニメを観に行きましたが、獅童さんは主役のガブだったと思います。
    ギロじゃないとおもう。

  2. NagataMasayuki より:

    このみさん、ご指摘ありがとうございます!
    ガブでしたね、修正いたしました。