【映画】「ダンケルク」の時間の流れを図説

「ダークナイト」「インターステラー」を作り出したクリストファー・ノーランの最新作「ダンケルク」が2017年9月9日に公開されました。IMAXの前から2列目で、画面を見上げながら、スクリーンから出てくる爆音にさらされてきました。この映画は、IMAXの巨大スクリーンで見るのが正しい見かたです。

1940年、海の町ダンケルクに追い詰められた英仏連合軍40万人の兵士。背後は海。陸・空からは敵――そんな逃げ場なしの状況でも、生き抜くことを諦めないトミー(フィオン・ホワイトヘッド)とその仲間(ハリー・スタイルズ)ら、若き兵士たち。一方、母国イギリスでは海を隔てた対岸の仲間を助けようと、民間船までもが動員された救出作戦が動き出そうとしていた。民間の船長(マーク・ライランス)は息子らと共に危険を顧みずダンケルクへと向かう。英空軍のパイロット(トム・ハーディー)も、数において形勢不利ながら、出撃。こうして、命をかけた史上最大の救出作戦が始まった。果たしてトミーと仲間たちは生き抜けるのか。勇気ある人々の作戦の行方は!?

『ダンケルク』2017年9月9日(土)全国ロードショー
オフィシャルサイト: http://dunkirk.jp
オフィシャルTwitter: https://twitter.com/dunkirkjp
監督・脚本・製作:クリストファー・ノーラン
出演:フィン・ホワイトヘッド、ハリー・スタイル、ケネス・ブラナー、キリアン・マーフィー、マーク・ライランス、トム・ハーディほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.

実は、イギリス軍が撤退するだけの映画なのですが、ちょっとした編集のギミックがしかけられています。最初にヒントのテロップが出てくるので、すぐに理解できると面白いのですが、わからないと置いてきぼりにされます。そこで、これから見る人のためにもう少しわかりやすく図説します。

「ダンケルク」時間と映画の流れ

クリストファー・ノーラン監督の初期の作品、「フォロウィング」「メメント」をご覧になった方はすぐに理解できるかもしれません。これらの作品は時間の流れが逆行していたり、シャッフルされています。また、「インターステラー」「インセプション」では、時間の流れが早くなったり、ゆっくりになったりもしています。

「ダンケルク」もまた時間の流れと映画の流れが微妙に違うのです。

映画冒頭ででてくるテロップ

「海岸の一週間」「海の一日」「空の一時間」がヒントです。

下記、若干ネタバレになるので、気になる方は見ないでください。

スポンサーリンク
レクタングル(大)

図説1(略図)

ダンケルク時間と映画の流れ

図説:ダンケルク 時間と映画の流れ

映画の流れが縦軸で、下からオープニングで、上がエンディングです。物語の時間の流れが、左から右です。線を見てもらうとわかりますが、兵士のシーンの時間の流れと、船の時間の流れ、戦闘機の時間の流れのスピードが異なります。そして、ある一点で交差するのです。

さらに、詳しく図説をします。よりネタバレになるので、映画を見てない方は見ないほうがいいかもしれません。

ネタバレ注意です。

図説2(解説付き)

ダンケルク時間と映画の流れ-02

図説:ダンケルク時間と映画の流れ

民間船による撤退開始が、クライマックスに持ってきています。この時間の流れでポイントとなるのは、交差した後の時間の流れも、それぞれ今までの同じスピードで流れていきます。空では着陸してすぐ、海ではイギリスに戻ってきた翌朝、海岸では完全撤退した将軍のシーンで終わります。

IMAXと通常スクリーンの比較

全編IMAXと65mmフィルムで撮影されて本作、IMAXで見るのをオススメします。なぜなら、通常の映画スクリーンで見ると、なんと上下40%がカットされているんです。

上下40%がカットされる

上下40%がカットされる

いくらなんでもカットし過ぎですよ。。。

林修先生の解説!

歴史的背景はは、こちらの動画がわかりやすいですかね。

まとめ

「ダンケルクの戦い」は、イギリス人なら誰でもしっている撤退作戦だそうです。しかし、世界的にはあまり知名度がなく、アメリカ人でされも知らない人が多いとのこと。この勇敢な撤退劇を賞賛して、「ダンケルク・スピリッツ」という言葉もあるそうです。

空のシーンで映像には出てこない飛行隊長の声で、マイケル・ケインが出演しています。自分は、気づきませんでした。マイケル・ケインは、クリストファー・ノーラン作品の常連ですし、50年前に映画「空軍大戦略」でイギリス軍パイロット・キャンフィールド少佐役で登場しています。

スポンサーリンク
レクタングル(大)

コメント

  1. Tin より:

    賢い!あらためて観てみます。

  2. Tin より:

    時間軸の解説を頂いたうえで、あらためて見てみると、時間の流れはもっと複雑で、時間が逆行しています。

    例えば、キリアン・マーフィを海で救出した後のシーンで、キリアン・マーフィがボートに乗っているシーンが出てきて、この後船を乗り換えると喋っています。その乗り換えた船が魚雷で沈没させられるんですね。
    イギリスの戦闘機が墜落して着水するシーンも2回ありますが、どちらも同じ飛行機で、二回目は時間を遡って着水のシーンを描いていますね。
    主人公が海岸で見つけた商船に乗って海に出るシーンがありますが、この商船が沈没するところも、トム・ハーディの視点で過去に遡って描かれています。
    その他にも時間が逆光しているシーンが幾つもありました。ノーランの映画らしいですね。