【雑記】土石流に流された”熱海”

 令和3年7月豪雨災害で、山から流れ出た土石流のために多くの家屋が流され、依然行方不明者が10名以上いる状態が続いている熱海です。
この災害で多くの貴重な人命が失われ、大切な住まいを失い、被害地区の方々が避難生活を送っています。熱海市と静岡県は連携し、国の協力を得ながら救助活動、被災者支援が全力で進んでいます。

熱海市では義援金を募集しています
※詐欺サイトなどもあるようです。ご注意ください

「土石流に流された”熱海”」

災害において、失われたのは人命や家屋などの資産だけではありません、「観光地・熱海」のブランドイメージが大きく毀損し、その影響は伊豆半島全体にも及んでいます。災害の場所は、熱海市街地と湯河原の間にある伊豆山地域の一部であるにも関わらず、全国ネットのテレビ放送で連日連夜の被害状況の報道により、人々の心の中には熱海市全体が土石流に飲まれたようなイメージになっています。
本来ならは、熱海が一年間で最も盛り上がる「こがし祭り」が、今週行われる予定でしたがコロナの影響で今年も中止に。2年連続の中止に、地元の人はかなりガックリしていました。そこに追い打ちをかけるような災害で、夏の花火大会と海開きが中止で、熱海は集客の目玉を失っています。観光客誘致を放棄した感じにも受け止められてしまします。今の7月中旬、例年であれば夏休みで多くの観光客で賑わうはずの街も、閑散としています。いつも大人気のあのプリン屋でさえ、行列ができないという悲惨な状況。宿泊施設は、かきいれ時なのに相次ぐキャンセルという・・・熱海の町が大きく沈んでいます
こがし祭り

「来てもらってナンボ」

災害のあったすぐそばで無邪気にはしゃいで、バカンスを過ごせるかと言うとそうでないことも良くわかります。しかし、熱海は大きく傾斜した地形の中に、わずかな場所を開発して宿泊施設、飲食店・観光施設、住居が密集しているため、「観光」以外の産業がないのが現状です。働く人のほとんどがなんらか観光業に携わる人です。熱海という町を人に例えるならば、多くの義援金が集まっている状況は「輸血」を施している感じでしょう。しかし、人間は輸血だけでは生きていけません、口から食べ物を入れないとカラダで血液を作り出すことができません。主産業である「観光」が元気でないと、熱海全体の元気が取り戻せないのです。もちろん、義援金や商品購入で応援も大変うれしいことですが、観光地ですから「来てもらってナンボ」です。東京オリンピック期間中、東京はうるさいでしょうから是非熱海に逃避しにきてください。日帰りで遊びに来てくれるだけでもOKです。笑顔の観光客が町に溢れることが、熱海にとっての一番のご馳走です。

「パンドラの箱」

連日、テレビや雑誌でも報道されているので、熱海以外の方でも注目しているかもしれませんが、今回の災害のヤバさです。単なる異常気象による豪雨がもたらした事象で終わりません。2000年あたりから、被害地区の上流域の谷への残土廃棄が行われていたのが、実は不法投棄と違法開発によるものであることが、わかってきました。静岡県の副知事が土木の専門家で、知見がカナリ高く、現場に入るなりすぐに記者会見で発表していました。国土の狭い日本では、このような場所がかなりの数あると想像できます。今後、全国の不法投棄の実態が明らかになるきっかけになるでしょう。人為的な原因による土砂災害が、二度と起こらないことを切に願います。
そんな酷いことをされた熱海ですから、熱海市民は犯人探しがやっきになることだと思います。地域コミュニティの中でも「誰がどーだ?彼がどーだ?」みたいな事が話されることもあるでしょう。災害からの復興の困難さ、観光客がいない状況による経済的疲弊、そして犯人探しや行政の不備への注文など・・・陰鬱たる空気が熱海の中に流れることでしょう。人と人が分断されてしまいます。
「ご安心ください、やつらは分断しております。我らの手に落ちるのも、もう間もなくです」
DCコミック原作の映画「ジャスティス・リーグ」の中で、宇宙にある5万ある惑星の征服を目論む悪の親玉「ダークサイド」に向かって、地球支配を命じられた子分「ステッペンウルフ」が言った言葉です。「地球人は勝手にお互いいがみ合い分断しています。私達の支配下におちるのも時間の問題です」と報告しているのです。お互い意見の相違はあるのが当然ですが、目指す価値観を理解して共有して、団結しなければ、人間はあっという間に暗黒面に落ちてしまいます。前を向いて、建設的な意見を持ちたいです。
※ここで言う「ダークサイド」は、宇宙征服を目論む悪の”人物”です。
ちなみに、スター・ウォーズでの「ダークサイド」は、人が持つ”負の精神面”のことを言います。

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