熱海の今抱えている問題点とその解決の道を探り、2030年の未来について考える市民と有識者の会議(熱海リノベーションまちづくり構想検討委員会)
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「ATAMI2030会議」の第五回に行ってきた。
2016年11月に行われた前回・第四回テーマ「福祉・健康」の様子はこちら→
関連サイト 熱海市役所「リノベーションまちづくりと融合した創業支援による地域活性化」
今回のフライヤー → こちら
まだ移住はしておりませんので、小田急線とJRを乗り継いで今日も熱海にやってきました。
今回のATAMI2030会議は、熱海市役所第三庁舎 議会場で行われた。座長を始めゲストスピーカーたちは議長席に座り、市民・聴講者たちは議員席や後ろの傍聴席に座ります。およそ50名の参加者たちが、熱海市議場に集まって来ていました。プロジェクターが2台用意され、YouTubelive配信、動画記録撮影、記録写真撮影も行われた。YouTubeliveの担当者に聞くと、ネット回線が貧弱なためうまく配信ができなかったと言っていました。電波の入りがよくないようで、自分のスマホも電波の状態が芳しくなかった。議会場を公共の場と考えるならば、市民が使えるWi-Fiしてもよいのではないでしょうか。Wi-Fiは、電気・水・ガスなどといったライフラインの一つとする考え方があってもいいのではないかと思ってます。災害時などに、活用できるので。
自分も議員さんの机とイスをお借りしました。なかなか座り心地がよかったです。
ATAMI2030会議スタート
熱海市観光経済課の方の進行で、ATAMI2030会議がスタートしました。
この会議全体の趣旨説明と今回のテーマについて。
本日のテーマ「ツーリズム」
「厳密にいえば、ツーリズムの概念は観光より広く、目的地での永住や営利を目的とせず に、日常生活圏を一時的に離れる旅行のすべてと、それに関連する事象を指す。
出典;平凡社世界大百科事典より」
過去4回で「福祉と健康」「林業とエコな暮らし」「食と農」について話して来たが、日本屈指の温泉地・熱海としては、すべてのことがこの「ツーリズム」に集結される。
会議の進行は、座長 清水義次さん(建築・都市・地域再生プロデューサー)。議会場で行われることについて
清水「これからの熱海のことを語るにはいい環境ですね!」
熱海の観光の歴史について
ツーリズムのテーマにおいて、熱海の観光地・温泉地としての立ち位置の確認として「熱海の観光の歴史」について、まずはミニトークがありました。
常葉大学教授で観光学・旅館について研究されていて、熱海在住の大久保あかねさんのトークです。大久保さん自身は、熱海に移住して25年になる方です。
熱海には大きく5回の変革点があった
熱海における宿泊施設の変遷の表で説明してもらいました。熱海には、大きく5回の変革点があり、今第6期になってきている。
横軸に時代で
江戸時代/明治・大正/戦前/戦後/平成/これから
縦軸に、
主なお客さん/泊まる施設/サービスのキープレイヤー
変革点・イノベーションで起こったこと、経営面/設備面
第一期 江戸期:大名・旗本・公家
変革1>経営の自由化/西洋建築の導入
第二期 明治大正:官僚・外国人
変革2>1泊2食/鉄道の普及
第三期 昭和戦前:資産家
変革3>旅行代理店による団体旅行/大浴場
第四期 昭和戦前:大衆(団体)
変革4>経営のネットワーク化/インターネット予約
第五期 平成:大衆(個人)
変革5>経営の分離/モバイル・リノベーション
第六期 これから:訪日外国人
『熱海は、どこよりも早く【変わる】ことで、日本の観光をリードしてきた。熱海の外から、人、物、金が集まって変わってきた。そして、どこよりも早く変革していて、日本の観光の全体の歴史的視点からみるとおよそ10年早く、変革している。』
『歴史から導きだしたキーワード【訪日外国人】 明治7〜9年、外国人が日本国内を自由に旅行できない時代に、なんと78組の外国人が来ていた。そう考えると、外国人対応の超先進観光地であった熱海。外国人から見た熱海については、英国大使オールコックが、富士登山の後に熱海に3週間滞在し、詳細に書いている。』
オールコックは、日本史上最初に富士登山をした外国人です。その後に、熱海で3週間過ごしています。愛犬トビーが事故で亡くなるという悲劇にあうのですが、熱海の人々の温かい対応に感激して帰国します。英国に帰っても親日家で、その後の日英の良好な国際関係に貢献した。
『明治7〜9年に宿泊した施設は「眞誠社」、外国人に対応するように靴で建物にはいれるようにしたり、ベッドを入れるなどしている』
『明治期になり、ある新システムの導入が導入される。明朗会計&1泊2食制度というモノです。それまでの旅館は茶代:お金をいっぱい払った人には、より多くのサービスをしていた』
日本の旅館のシステムが確立した場所・熱海と言える
『昭和期に入ると、新設備の導入が一気に進む。多くの人がお風呂に入れるようにと大浴場。多くの人に食事を提供できるようにと大宴会場をホテルに完備。大浴場を運営するために、温泉の組み上げ技術も発展していった。昭和観光の代名詞「団体旅行向けのサービス」の発信地がまさに熱海である』
※もう一つ、面白い発明があったのだが、また別の機会ためにそのネタは取っておきます。
『なぜ、そんなに大規模な旅館施設が作れたかというと、熱海大火がある。大火事でことごとく建物がなくなり、全面的に旅館を立て直せることができた。熱海は、トライアンドエラーを繰り返す観光地で日本をリードしてきた』
熱海大火は、熱海市街地を消滅される大災害でした。
詳細は記事にしてます。→ 【熱海】野次馬・坂口安吾が綴った熱海大火と都市デザイン
サービスのキープレイヤー
大久保さんは、面白い視点で切り取っている。サービスのキープレイヤーである。熱海にやってきたお客さんをおもてなしする上で、重要となってくる人たち。
江戸:宿の主人
明治・大正:遊戯師匠 ※踊り・音曲を教える個人師匠
戦前:雇い女(女中)
戦後:おかみ・仲居
平成:システム
これから:市民
明治大正のキープレイヤーとして、遊戯師匠が登場。熱海の芸者が多く存在するという歴史的背景の中に、この頃にに大きく発展したお茶屋遊び文化があるため。多くの官僚・政治家が熱海で日本の政治について決めながら、遊んでいたんです。
戦後・平成の女中・システムは、どれだけ効率良くお客さんをさばけるかがポイントとなっている。経済的に最優先なシステム。
「これから」では「市民」となっているのは、
まず宿泊施設として民泊・ゲストハウスが増えてくるのがある。
また観光の形が、観光地が来てお風呂に入って帰るという形から、街の雰囲気を楽しむなど様々な体験を楽しむものに変わってきている。この観光の形は、以前より全国で大きく変わってきているが、
おもてなしをするキープレイヤーが「市民」
という段階までには来てないと思う。
Re-Innovation
大久保さんの話のまとめ、これからの熱海に必要なこと・・・
表を見てわかるように、熱海は大きく変革をくりかしてきました。そして、これからも変革し革新するが必要です。
まとめ
時代がシフトしているこの時に、熱海も日本の観光のトップランナーに再び躍り出て新しい観光の街になって欲しいと思います。熱海の歴史は、日本の歴史とも大きく関わる部分でもあり、今度詳細に勉強していきたいと思っております。あと自分の中で、英国大使オールコックの存在がどんどん大きくなってきてます。まずは、彼が日本のことに詳細に書いた本を読まなくては。
会議の模様は、つづく・・・
まだこの会議のさわりの部分だけです、できたら3回に分けてお送りしようと思っています。
2016年11月に行われた前回・第四回テーマ「福祉・健康」の様子はこちら→