今回は和歌山シリーズで素敵な若者を紹介します。大学を卒業後すぐに和歌山の地域おこし協力隊に入りゲストハウスで起業する森さんです。
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和歌山県新宮市熊野川町のゲストハウス
世界遺産・熊野古道が通る新宮市熊野川町。熊野古道目当てのインバウンド(海外からの日本国内旅行)のお客さんが年々増えいてます。しかし周辺に泊まる施設がないという現状に、海外からのお客さんたちは困っている。
そんな熊野川町新宮川の近くにゲストハウスが今年(2017年)4月にオープンしました。
以前のブログで紹介したお店は和歌山の山奥にありましたが、ここはさらに遠いところです。車で何時間走ったか、よく覚えていません。鄙びた山里の川沿いにある、なんの飾り気のない一軒家です。
大きなお屋敷でもなく、小さな家で古い造りのごく普通の家です。中に入ってみると改装して気持ちいいくらい綺麗になっています。建具は檜でしょうか、木の心地よい香りもしてきます。
客間は6畳が二部屋あり、お客さんに一棟貸し切り利用が前提になっています。当然、部屋に鍵はありません。二部屋と言っても襖で仕切らているだけです。
だたのゲストハウスではありません・・・
電力自給発電のゲストハウス
ゲストハウス一休は、電力自給発電・オフグリットの建物なのです。
※予約の重複を防ぐために、予約はAir bnbのみになっています。ホームページには外国人向けの英語のサイトも作ってあります。
「グリッド」とは電力会社の送電網のことです。送電線がなく、電力会社からの電気を買わないで自給するのが「オフグリッド」です。日本ので初(かもしれない)電力自給のオフグリッドのゲストハウスなのです。
このゲストハウスを作ったのが森雄翼さんです。
森雄翼(もりゆうすけ)/平成元年生まれ。
熊本県水俣市出身。京都大学農学部卒。京都市左京区BAR転々元店主。現在和歌山県新宮市地域おこし協力隊。オフグリッドゲストハウスikkyu店主。
「地球一個分の暮らし」にシフトするために電力自給と食料自給にチャレンジ中。 ikyuuのサイトより
平成元年生まれの二児の父。和歌山県新宮市の地域おこし協力隊に入り、ここ新宮市に移り住んできました。
※現在は、新宮市では募集していません。詳細を知りたい方は、和歌山県もしくは新宮市にお問い合せください。
地域おこし協力隊の期間は3年間で、現在3年目になるそうです。最初は、協力隊の仲間が5人いたのですが、現在は森さん一人だけになりました。そういう意味で、新宮市の試みは成功と判断されておらず、来年度の協力隊募集は停止されているようです。今後、森さんが活躍するれば復活するかもしれませんね。
森さんは、地域おこし協力隊で与えられた使命は大きく2つ
・地域の世話をすること
これは、全国どこの地域おこし協力隊でも同じですが、地域で発生する雑用(※ざっくり言ってすみません)を率先してこなしてもらう必要があります。
・起業すること
農業をして欲しいとか、漁業に従事してほしいとか、それぞれの地域で要望が違います。新宮市の場合は、3年以内に起業が目的となっていました。
森さん曰く、新宮市の自分の担当の方がとても柔軟な考え方な人で、いろいろと自由にできたおかげで自分はできているのだと語ってくれました。
森さんが考えた計画
新宮市では、3年間に給料がでながら事業を起こす準備ができたので環境は恵まれていたと森さんは言います。まず一年目で、この地域の人たちと仲良くすることに重点をおきました。この地域にどんな事業が必要なのかを検証しました。
紀伊半島の真ん中に位置して、周辺に宿泊施設がまったくない。特に外国人に対応できるようなところがない。世界遺産となり年々外国人観光客が増えてきている。そんな状況からゲストハウスを計画しました。
二年目には、実際に物件探しから建物の準備(リノベーション)。物件を探そうにも、一般には物件情報がでまわってないのが田舎の特徴です。知り合いでない人に、家は貸さないのが常識です。1年かけていろんな人と仲良くなり、自分がやりたいことを説いて回って、現在の家を借りることができました。家賃は、ほぼ無料に近い感じのものだったそうですが、大規模な改装工事が必要だったので、そこで資金が必要でした。
SNSやクラウドファンディングなどを利用して自分の同士をあつめ色々と順調に進んでいるようです。そんな森さんが目指すもの・・・
電力の自給自足
森さんが目指すものは「地球一個分の暮らし」です。日本人の生活基準で、全世界の人たちが生活したら地球は一個では到底たりません。一つ分の暮らしをしようというコンセプトで、このゲストハウスは運営しています。お客さんが電力自給の生活の場に泊りに来ることで、「地球一個分の暮らし」を感じて欲しいと森さんは思っています。
ゲストハウスの屋根の上には、ソーラーパネルが4枚と、オープンにあたり友人から送られたパネルが6枚ならんでいます。発電量は、1500Wです。
※使用されてる家庭用蓄電池は、なかなかよさそうです。調べたらAmazonでベストセラーNo.1になってました。災害時の緊急電源のために買っておくのもいいかもです。
効率のよい太陽光パネルとコンパクトな家庭用蓄電池があることで、贅沢をしなければ簡単に電力自給自足ができています。日照率の低い6月になると、太陽光パネルだけでは電力が不足も予想されるので、足こぎ自転車で発電するプランも考えているそうです。自力で電力を創り出すのも楽しそうです。子どもは喜びそう。
冬場の暖は、薪を利用しています。和歌山の豊富な森林資源を活用です。ほかにも環境に配慮してコンポストトイレになっていました。
完全レンタルカフェ(日替わりシェフ)を営業
ゲストハウスの中には、素敵なカウンターバーが設置されていました。宿泊した人への食事の提供と地元の方々の集える場所を作りたいという目的です。なかなかオシャレ!
お伺いした時はお話に出ていなかったのですが、出店者を募集していました。
出店者募集してます!
出店者募集!(平日) 出店料はほぼ不要です(ガス、水道を契約しているのでその割り勘代と店主へのまかない=タダめしをください)。ワールドワイドなお客様が来るので、ある程度の料理レベルと企画自体の面白さを求めます。コンセプトをまずは明確にし、企画書をお持ちください。また、募集枠は平日(月曜日〜金曜日)です。 サイトより
こうして綺麗にリノベーションされオープンするゲストハウスですが、この建物は大災害にあっていたのです。
2011年9月3日台風12号の大被害
平成23年台風第12号による豪雨により、紀伊半島(和歌山県・奈良県・三重県)において被害が甚大でした。豪雨による被害については「紀伊半島豪雨」、「紀伊半島大水害」とも呼ばれています。
この地域でも目の前の新宮川も水位が上昇し氾濫、このゲストハウスの建物が被害にあっています。外壁にはその時の水位を示す跡も残っていました。実際には、軒下から50cmくらいのところまで水が入り込んで、建物はボロボロになりました。そんな状況の家だったので、ほぼ格安で借りることができたそうです。
しかし、実際に人が住めるまでに持ち直すためには大規模な改装工事(リノベーション)が必要でした。クラウドファンディングで資金を調達したらり、ワークショップを開き多く人に作業を手伝ってもらいました。ゲストハウス一休のホームページの下には【SpecialThanks】で多くの人の名前が書いてあり、クラウドファンディングなどで支えられたのがわかります。
まとめ
まだ20代の森さんが、「地球一個分の暮らし」を実現するために和歌山県を選び、田舎暮らしをしているのを見て羨ましく思えました。小さなお子さんが二人がいて、子育てを自分らしい姿を見せながらできるのも素晴らしいと思います。