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アニメと地域活性化とは?〜とある地方の二次元旅行記〜
と題された話を3331アーツ千代田 ラウンジで聞いてきました。
登壇したのは、長野県小諸市で「なつまちおもてなしプロジェクト」広報・企画担当をなされている花岡隆太氏。学校を出たあとに、某ファミリーレストランチェーン店で働いたあとに、故郷の小諸市に帰られ旅館業を営んでいる方です。そんな花岡さんの暮らす長野県小諸市が舞台となったアニメが放送され聖地になり、アニメを活用して聖地巡礼で地域活性化へ進めたという話です。長野県小諸市はアニメ「あの夏で待ってる」の舞台として登場し、聖地巡礼で地域活性化に成功した場所です。
『あの夏で待ってる』は、2012年1月から3月まで放送された日本のオリジナルアニメ作品。キャッチコピーは「その夏の思い出が、僕達の永遠になる」。略称は「なつまち」または「あの夏」。
ジャンル ラブコメディ、少年向け/原作 I*Chi*Ka/監督 長井龍雪/脚本 黒田洋介/キャラクターデザイン 羽音たらく(原案)、田中将賀
wikipediaより
冒頭から脱線であるが「君の名は。」の新海誠監督は、長野県佐久の野崎北高校出身だそうで、「君の名は。」は長野の町を思い起こされる風景だったそうです。佐久は、小諸の隣町。
「アニメと地域活性化」について花岡氏がまず結論的な答えから入ってきた・・・
「アニメで地域を活性化することはできない!」
な、なんと!活性化することはできない。話は終わりか?!
「アニメは地域で活用できます!」
キーワードは「活性化」でなく「活用」。言わんとしていることは、アニメが地域になにかを与えてくれるのではなく、地域がアニメを能動的に活用するしかないのである。
では、その能動的に活用する上での何が大切になってくるのか?
まずはアニメへの理解である。小諸がアニメの舞台と知られ、町おこしに利用しようという機運が高まってきたといいます。問題として上がってくるのが、地域のリーダー・人生の先輩方々はアニメなど見たこと無い人がほとんどで、その人達にアニメを容認してもらう必要がある。第一の選択肢
地域の人は舞台となったアニメを見るか?見ないか?
の二択だとしたら、見るしかない。と言っても、その市町村の首長が理解があるとか、観光協会の理事が柔軟な人などの素質も大切だと語ります。事実、小諸の観光協会の理事がアニメに対して、とても寛容で花岡さんの話をしっかり聞いてくれたといいます。「これは運です」だそうです。見て、感じ、前向きに受け入れる気持ちがなければ最初の一歩が進めません。
失敗したケースを探した
「アニメで地域活性化」の機運がさらに盛り上がりを見せる中、花岡さんが起こした行動があります。アニメの舞台となり聖地巡礼の対象となった市町村の失敗したケースを探ることでした。ついイケイケどんどんで我武者羅に活動も大事ですが、慎重に立ち止まってマイナス目線を持つことが大切です。聖地巡礼を地域活性化につなげようとする市町村ですが、実にうまく行っていないケースがほとんどです。失敗の要因は数々あるのですが、その一つに「住民が安心できなく、ファンを受け入れない」では花岡さんは、住民が安心するためには「住民がアニメへの理解を深める」と同時に「住民にとってプラスになること」が必要だと考えた。
「住民のアニメへの理解」
住民の理解を深めるための施策例として、ポスターを作成して事前にアニメ開始の周知徹底を計ったといいます。突然、聖地巡礼でファンがどんとやってきたら住民の方々はビビって拒否反応をおこすと考えました。自分たちの町を舞台としたアニメがあることを知り、そのアニメを見たファンがやってくることを隅々まで知らせるにはポスターは効果的かもしれません。
一方、住民を安心させるためにファンに対しても情報発信をしています。地域に来た時に「やってはいけないことリスト」と作り、ネットにアップしてアニメファンの理解を図りました。今は、聖地巡礼が一般用語化されているくらいなので、ファンのモラルもかなり向上しておりますので、そんなに心配することはないでしょう。しかし、ファンに向けての意味合いとは別に、「ファンに地元を理解させる情報発信をしている」という内側向けのポーズ的な意味合いもあると思います。
「住民にとってプラスになること」
観光地域つくりとして、観光をベースに交流人口を増やすことが、今もっとも求めら得ていることです。DMO=デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション。ファンが来て、楽しみ、観光してもらい、地域が価値ある商売をすること。地域が単に「おもてなし」することが大切なのではありません。しっかりと価値のある商売ができてこそ、継続的な聖地巡礼の活用ができるのです。田舎の人々は、なんでも無料(ただ)で「おもてなし」をすることがありますが、それでは次に繋がらなくなります。注意してもらいたいのは、ファンを金儲けの道具として見ることではありません。ちゃんとアニメのファンがサービスに納得して満足感を得られるものを提供して、それを有料で商売すること。私達にとって祭りに参加することは無料で当たり前のことです。有料なんて話は日本全国どこにもないと思いますが、小諸市ではファンを満足させ、継続的に聖地巡礼で地域活性化を目指すために、ファンの祭り参加を有料化したそうです。これは聖地巡礼に限ったことではなく、観光産業全体に言えることではないでしょうか。
参考ページ:あのなつおもてなしプロジェクト
「市民まつり こもろドカンショ」
参加費: 1人2,500円(保険、軽食、飲料費含む)
参加者特典: なつまち連オリジナルお祭り木札
コスプレでのご参加大歓迎!
なつまち連特別宿泊プランのご用意あります!
なつまち連個人協賛いただける方を募集!
ホームページ見ると、これは楽しそう。2,500円で同じ作品が好きなファンと一緒に楽しめるなら、コストパフォーマンスは最高ですね。そこまで好きな作品でなくても、正直行ってみたいと思います。
ちなみに、あのなつおもてなしプロジェクトには海外向けのページがあることに注目
英語/繁体字ページ http://komoro.in/natsumachi?j=fes
アニメの聖地巡礼で訪れるくらいの外国人ファンは、本当に日本が大好きな人たちで日本語が話せる人が多い。外国人だからといって無茶するとかの心配はしてないそうです。また、やってくる大半は台湾からの人とのこと。台湾の人で、日本好きな人は年に何回も日本にやってきますから。
そして、花岡さんが考えるアニメでできること
・グッズの販売
・商品開発
・イベント開催
・広報宣伝
さらに
・移住者
・社会復帰
・人材登用
・人口増加
アニメ作品で地域に興味を持ってくれた方が、移住した例もあるそうです。なんと国体出場レベルのアスリートが来たというから驚きです。さらには、社会復帰。説明は必要ないでしょう。人材登用は、今まで職場の人に話すことはなかったが実はアニメファンでその分野については明るい人がいて、聖地巡礼のプロジェクトを遂行する上で適材適所でその担当部署についたという例がある。人口増加。アニメファン同士がつながれば、ファンにとっても明るいことですが、地域にとってもいいことです。
聖地巡礼を考える地方の方々へ
花岡さんが、聖地巡礼を考える各地の方に最も注意していることがあるそうです。これは聖地巡礼プロデューサー柿崎氏もまた声を大きくしてい発言していること。
コンテンツ事業者との関係を良好に保つこと!
コンテンツ事業者というのは、アニメの制作サイド・アニメの製作委員会です。聖地巡礼でなにかを動こうとすることには、必ず製作委員会に声をかけ、助言をいただき、サポートしてもらい、地域としてアニメを盛り上げるために協力を惜しまないことです。コンテンツ事業者がアニメの「イラスト使わないで!」と言われたら、おしまいですからね。
そして地域は、コンテンツ事業者とビジネスパートナーと意識して、クリエイティブにはしっかりと対価を払うこと
田舎のおじさんは、アニメの画1枚書いてもらうのにうん万(もしかしたらもっとかな?)かかることが信じられないかもしれません。しかし、その画を描くまでにどれだけの人が携わり、労力を払ってきたか考えると正当な対価になることを理解したもらう必要があります。ビジネスの一貫として、聖地巡礼を考える必要があります。
そして、最後に
そして、最後の提言が一番重要だと自分も思いました。「つまらなくやっていることはユーザーにわかる。地域の人もアニメを理解し、聖地巡礼を一緒に楽しもう」聖地巡礼に限らす、いろいろなことに言えることですが、自分が楽しんでいないことは他人にも伝播してしまいます。
つまらなくやってることは、ユーザーにも伝わる
こちらの花岡氏の話を聞けたイベントは下記の事業の一貫として行われたもので、なんと無料でした。素晴らしい!
【コンテンツ事業創造HUB】
東京の実施する「インキュベーションHUB推進プロジェクト」 事業によりコンテンツ産業分野において豊富なインキュベーション実績を有する、ブレイクポイント 株式会社(代表事業者)と、株式会社ツクリエ(連携事業者)を中心に事業を展開しています。
http://chub.tokyo/
信州と言えば、お蕎麦ですよね。佐久にある草笛という店が有名で、美味しいのですが。実は、小諸にあるのが本店というのを初めて知りました。